ゴミ屋敷の相続はただでさえ精神的、物理的な負担が大きい上にしばしば相続人である兄弟姉妹の間で深刻な「争続」の火種となります。故人を安らかに見送るべき時に家族が骨肉の争いを繰り広げることほど悲しいことはありません。このような悲劇を避けるために家族が心がけるべき重要なポイントがいくつかあります。まず最も大切なことは「全ての情報をオープンにし共有する」ことです。誰か一人が主導権を握り物事を進めるのではなく必ず相続人全員で話し合いの場を持ち家の現状、故人の財産状況(プラスもマイナスも)、そしてこれからどうしていくのかという方針について認識を完全に一致させます。特に片付けにかかる費用の見積もりなどは全員で確認しどの業者に依頼するのかも合意の上で決定することが後の不平不満を防ぐことに繋がります。次に重要なのが「役割分担を明確にする」ことです。遺品整理や業者とのやり取り、法的な手続きそして費用負担。これらの煩雑なタスクを一人の人間に押し付けるのではなくそれぞれの得意分野や居住地、状況に応じて公平に分担しましょう。例えば近くに住む人が現場での立ち会いを担当し遠方に住む人が書類の整理や手続き関係を担当するといった具合です。お互いの労力や負担を思いやることが重要です。そして遺品の「分け方」についても明確なルールを決めておきましょう。現金や有価証券だけでなく価値のある骨董品や貴金属などが見つかった場合にどうするか。また金銭的な価値はなくても思い出の品を誰が引き取るのか。感情的にならず冷静に話し合うことが求められます。もし当事者間での話し合いがどうしてもまとまらない場合は家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用したり弁護士などの第三者を間に入れたりすることも有効な手段です。ゴミ屋敷の相続は家族の絆が試される大きな試練です。お互いへの敬意と思いやりを忘れずに乗り越えていきたいものです。