親が遺した家がゴミ屋敷だった場合、相続人は人生で最も重い決断を、相続開始を知った日からわずか三か月という短い期間で下さなければなりません。この三か月間に、物件の市場価値の調査、清掃費用の見積もり、そして親のプラスの財産とマイナスの財産の精査を行う必要があります。もし、ゴミの撤去費用が数百万円かかり、不動産の売却価格を上回る、いわゆる「オーバーローン」や「赤字相続」になることが確実であれば、相続放棄は極めて合理的な選択肢となります。しかし、一度相続放棄をすると、家の中にある思い出の品を一つも持ち出すことができなくなり、その後の管理も家庭裁判所が選任する相続財産管理人に委ねられることになります。ゴミ屋敷の相続を機に、自分の子供たちには同じ苦労をさせないよう、自らの生活環境を見直し、生前整理を早めに始めること。そして何より、家族間のコミュニケーションを密にし、誰かが孤立して物に依存し始める兆候を逃さないこと。これには多額の予納金が必要になる場合もあり、相続放棄をすれば全ての問題から解放されるわけではないのが難しいところです。逆に、清掃をして相続することを選んだ場合は、その瞬間から固定資産税の支払い義務や管理責任が発生します。ゴミ屋敷の相続において、この「三か月の猶予期間」をどう使うかが、その後の人生を左右します。多くの人が、悲しみに暮れているうちに、あるいはゴミの山を前に思考停止しているうちに、期限を過ぎて単純承認したとみなされてしまいます。これを防ぐためには、相続が発生した直後に、まずはゴミ屋敷の現状をデジカメで記録し、不動産業者と清掃業者の二社に現場を見てもらうべきです。数字という客観的なデータに基づいて判断を下すことで、感情に流されない賢明な選択が可能になります。ゴミ屋敷の相続は、時間との戦いです。三か月という限られた時間を最大限に活用し、最悪のシナリオを回避するための行動を、一日も早く開始することが求められています。