長年、特殊清掃や汚部屋の片付けに従事してきたプロの視点から見ると、汚部屋住人には驚くほど共通した傾向が見て取れます。まず、現場を訪れて最初に感じるのは、ゴミの層に込められた「時間の地層」です。汚部屋住人の特徴として、物を捨てるという行為が何年にもわたって停止しているため、床の方に行けば行くほど数年前の新聞や、今は亡き流行のパッケージが発見されます。彼らの部屋は、人生のある時点で時計の針が止まってしまったかのような、静止した空間であることが多いのです。また、プロの清掃員が指摘する興味深い点として、汚部屋住人の多くが「非常に優しく、争いを好まない性格」であるということが挙げられます。彼らは他人に対してノーと言うことが苦手で、頼まれた物を断れずに引き取ってしまったり、勧誘を断りきれずに不要な契約をしたりと、外からの物を拒絶する力が弱いのです。それがそのまま部屋の状態にも反映され、外からの情報や物を遮断できず、自分のスペースを侵食させてしまいます。さらに、部屋の中には未開封の郵便物や督促状が山積みになっていることも特徴的です。現実の深刻な問題から目を逸らし、封筒を開けるという小さな動作さえも恐怖に感じてしまう心理状態がそこにはあります。また、食べ物のゴミに関しても、特定の食品に偏っていることが多く、栄養バランスの崩れた食生活が、さらなる無気力と体調不良を招いていることが一目で分かります。プロが最も心を痛めるのは、ゴミの中に埋もれた「かつての夢」の断片です。新品のまま放置された楽器や、封も切られていない参考書などは、住人が現状を変えたいと願いながらも、その重圧に押し潰されてしまった足跡のように見えます。汚部屋住人は、決して不潔であることを好んでいるわけではありません。むしろ、人一倍繊細で、傷つきやすく、社会の波に揉まれる中で自分を守る方法を失ってしまった人々が、ゴミという名の繭に閉じこもっているのです。プロの清掃員が行うのは、単なるゴミの撤去ではなく、その繭を慎重に剥がし、住人が再び外の世界で呼吸できるようにするための救出作業に他なりません。ゴミの山を取り除いた後に現れる、住人の安堵した表情と涙は、彼らがどれほど長い間、自らが作り出した檻の中で苦しんでいたかを物語っています。
プロの清掃員が見た汚部屋住人の共通点