ゴミ屋敷を解消する上で、最大の物理的障壁となるのが、膨大なゴミの処分にかかる高額な費用です。2DKや3LDKといった一般的な広さの住宅であっても、ゴミが天井まで積み上がっている場合、清掃費用は数十万円から、状況によっては百万円を超えることも珍しくありません。セルフネグレクトに陥っている住人の多くは、経済的にも困窮しているケースが多く、この費用の問題が解決の大きな妨げとなっています。そのため、公的な経済支援の充実が、ゴミ屋敷問題の解決に向けた急務となっています。一部の先進的な自治体では、ゴミ屋敷対策条例に基づき、清掃費用の一部または全額を助成する制度を設けています。また、生活保護受給者に対しては、家具什器の購入費用や、居住環境を整えるための特別な扶助枠を適用することで、清掃費用を賄う仕組みもあります。しかし、こうした支援が受けられるのは一部の層に限られており、いわゆる「低所得ではあるが保護の対象外」というグレーゾーンの人々が取り残されています。これに対し、社会福祉協議会による小口貸付制度の活用や、クラウドファンディングによる寄付金の募集といった新しい支援の形も広がりを見せています。また、清掃業者の中には、分割払いに柔軟に対応したり、リサイクル可能な物を買い取ることで費用を相殺したりといった、独自の支援策を打ち出している企業もあります。さらに、経済的支援は単に「清掃費を出す」だけでは不十分です。清掃後に再びゴミを溜めないためには、家計管理のサポートや、安定した収入を得るための就労支援がセットで行われなければなりません。ゴミ屋敷化の背景に借金問題や金銭管理の困難が隠れていることも多く、ファイナンシャルプランナーや弁護士といった専門家による債務整理などの支援も解決の重要な一部となります。お金がないからゴミに埋もれて死ぬしかない、という悲劇を回避するためには、社会全体でセーフティネットを構築し、「生活の再建」という目的のために公費や寄付を投じることへの社会的合意を形成していく必要があります。経済的な支援は、ゴミという負の遺産を清算し、一人の人間が人間らしい生活を取り戻すための「未来への投資」に他ならないのです。